住宅ローン破綻とは、住宅ローンを支払うことができなくなっている状態を指します。住宅ローンの滞納が、6ヶ月程度続くと金融機関より一括返済を求められ、当然支払いができないことから住宅ローン債権が保証会社へ移行(代位弁済)されます。その後、保証会社は競売を申し立てることとなり裁判所から不動産の差し押さえ登記が行われ、勝手に売ることができなくなり、競売で売却され、強制的に退去しなければいけなくなってしまいます。また住宅ローンが破綻すると、個人信用情報に滞納の履歴が記載され、新規でのカード利用や、ローンの借入ができなくなってしまいます。
住宅金融支援機構によると2022年度のリスク管理債権の割合は3.05%となっています。このリスク管理債権とは、「破綻先債権」「延滞債権」「3カ月以上延滞債権」「貸出条件緩和債権」の総称です。こちらを債権額の合計で割ったものが、リスク管理債権の割合になっています。
つまり、簡単にいうとローンの返済に困り何らかの救済措置が取られている状態の人が100人に3人はいるということです。
救済措置が取られるまではいっていないものの、ローン返済に対して困っている人たちを含めると、この割合はより多いものと推測できます。
では住宅ローンの滞納が起こると何がおこるのでしょうか? 詳しく解説していきます。
住宅ローンの支払が1日でも遅れると遅延損害金が発生します。 この遅延損害金は年率14.6%と非常に高い傾向があり、滞納を続けることで高額に膨らんでいく可能性があります。
遅延損害金は以下の計算式で計算することができます。
遅延損害金=滞納額×1日あたりの遅延利率(利率÷365日)×延滞日数
※うるう年の場合は利率÷366日となります。
住宅ローンを滞納し続けると、金融機関から督促や催促を受けますが、それをも無視していると、不動産が強制的に競売にかけられてしまいます。競売が進むと不動産が売却され、強制的に家から退去しないといけなくなってしまいます。
住宅ローンが払えず滞納し、競売にかけられた場合でも、競売を回避するために任意売却をおこなった場合でも、売却益で住宅ローンの残りの金額全てをまかなえなかった場合、その残債が請求されます。
この際債務者である金融機関にもよりますが、残債の請求は一括請求であることがほとんどです。残債を払えない場合、自己破産などの債務整理をするしかなくなってしまいます。
住宅ローン破綻の原因として多く見られるのが収入の減少です。住宅ローンを組む際はもちろん払える計画で組みます。
しかし、住宅ローンの支払いは20年以上と続くものであり、その期間に収入の状況が変わり、計画よりも低くなると生活が圧迫され、支払いを続けることが難しくなります。
また退職金を住宅ローンの返済計画に組み込んでいる場合は注意が必要です。転職などの理由により想定よりも退職金がでない場合は、退職後に住宅ローンが払えなくなり、「老後破産」を起こしてしまう場合も多く見られます。
病気や怪我によって突然今の職を失うケースも見られます。この場合、当初予定していた計画とは全く異なり、安定した収入を得ること自体が難しくなってしまいます。
また、住宅ローン破綻に陥る方の2割近くを占めるのが個人事業主、中小企業の経営者です。
会社の業績が振るわずに倒産してしまった場合、個人の資産も失い、住宅ローンを払えなくなってしまうことも多くあります。
住宅ローンを組んだ際に、ペアローンや収入合算による両者の収入をあてにしたローンの組み方をしている場合、離婚による住宅ローン破綻のリスクが存在します。家族がでていき、不必要に広い家と重たい住宅ローンが1人に重くのしかかる、といった悲惨なご相談者も多くいらっしゃいます。
特に住宅ローンだけではなく、養育費の支払いもしなければならない場合、返済が困難になってしまうことが多いです。
では住宅ローンが破綻しないようにどういった対策をすべきでしょうか?
現状の収入を基準に、払えるギリギリの金額でローンを組むことはキケンです。
人生には様々なハプニングがあるため、以下のことも想定し、シュミレーションすることが大事です。
住宅ローンの金利には大きく分けて「変動金利」「固定金利」の2種類があります。変動金利はその名前の通り、変動が起こります。
変動の基準は経済状況であり、今は金利が低くても、数年後にインフレが起きると金利が急上昇する可能性があります。
そのため、変動金利よりは高いですが、比較的シミュレーションに近い変動で考えることができる固定金利を選択すると安心です。
かつては終身雇用であり、転職や失業が少なかったため、ボーナスも安定して受け取ることができました。
しかし転職が当たり前になった現代では、ボーナスを受け取ることができなくなる可能性が大きくあります。また1つの会社に勤めていても、経営難によるボーナスカットが起きると、返済が厳しくなります。この用に、貰えるかもしれないお金を前提に考えることは非常に危険です。
退職金での返済を考えていたが、想定より退職金が少なかった、ということも考えられます。その場合、退職金での繰り上げ返済ができないため、期間がかかり、住宅ローンの返済ペースが遅れてしまう場合もあります。
共有名義、連帯保証人にしていないとしても、2人の収入があるため、自分だけでは払えない金額でローンを組んでしまう人もいます。
しかし、産休・育休により奥さまの収入がない期間や、離婚によって2人での収入をあてにできなくなる可能性もあります。
そのため、配偶者の収入を前提に考えるのではなく、何かあったときに自分だけの収入でも支払える金額で住宅ローンを組んでおくことが重要です。
この場合、一般売却、リースバック、またはリバースモーゲージが選択肢としてあります。
一般売却は通常の売却手段です。
リースバックとは、所有している不動産(家、ご自宅など)を、金融機関や投資家などの第三者に購入してもらい、もとの所有者がそのまま不動産を使用し続ける、という不動産取引です。そして、将来的には「買戻し」といって、その家を取り戻すことも可能な場合もあります。
リバースモーゲージとは、自宅を担保に入れて融資を受け、亡くなった後に自宅を処分し、借入金を一括返済する制度です。
リースバックとリバースモーゲージについては、専門的な知識になるため、詳しくは一度ご相談ください。
物件の価値が低いと住宅ローンの残額(残債)以上で物件を売却することは難しくなります。この場合、物件に買い手がつかず滞納が進むと物件が競売にかけられます。競売が進み物件が売却されると強制的に家から追い出されます。
この競売を回避するための1つの手段として、任意売却があります。
競売を回避するために、任意売却を行い、住宅の売却代金で住宅ローンの返済を行ったとしても、すべてを返済できるわけではなく、一部住宅ローンの残額が残ります。この残った借入金を残債務といいます。残債務が多く、自分で支払うことができない場合は、債務整理として「自己破産」の申し立てを考慮すべきです。
自己破産についではこちらの記事でわかりやすく解説しております。
任意売却とは、住宅ローン等の借入金が返済できなくなった場合、売却後も住宅ローンが残ってしまう様な物件を金融機関の合意を得て売却する方法です。借入金を全額返済できずに債務が残ってしまいますが、それ以外は通常の不動産売却と同じです。
競売に進んでしまい売却が成立すると強制的に家を退去しなければならず、また競売の場合は室内を内覧しないで購入するため、販売価格も市場価格の5~6割程度の値段しかつかず、残債を多く残すことになるケースが多くあります。遅延損害金などが上乗せされるので借入金がどんどん膨らんでしまいます。
そのため住宅ローンが払えなくなった場合は、競売に進む前に任意売却などの方法で解決に取り組む方が良いでしょう。
当協会は住宅ローンが払えない方たちの相談を専門に受けてきたプロ集団です。このままでは住宅ローンが破綻するのではないかとご不安にお思いの方は、お一人で悩まずにまずはプロにご相談ください。ご相談者様の状況を確認させていただき、現状何ができるのかを一緒に考えさせていただきます。
他社に依頼したが売れない、不手際が多すぎるなど、複数の業者へ相談したが上手くいかないといった場合なども、 多くのご相談を頂いています。
相談の際はフリーダイヤルへお電話下さい。メール・LINEによるご相談は24時間受け付けています。お電話が難しい場合は無料相談フォーム、または公式LINEアカウントにてお気軽にお悩みをご相談下さい。ご相談内容は秘密厳守いたします。
当協会が行った解決事例の一部をご紹介します。
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