長期間にわたる住宅ローンを契約している場合、数ヶ月にわたって住宅ローンを滞納すると保証会社が残債を代位弁済し、住宅ローンを借り入れた人(債務者)に一括で返済を求めます。
そして、一括返済に応じることが出来ない場合、競売を申し立てられます。今回は、競売の申し立てにかかる費用や、誰が負担することになるのかについて詳しく解説してきます。
競売には以下のような費用がかかります。
・申立手数料
・予納金
・郵便切手代
・登録免許税
下記で、それぞれの費用について解説いたします。
申立手数料とは、競売の申立を行うにあたって、手数料として申立書に添付する収入印紙代です。
担保権の個数分の収入印紙が必要となり、通常は担保権1個につき4,000円がかかります。
予納金とは、競売の手続きを行う際の、現況調査手数料、評価料、売却手数料といった支払いに充てられる費用のことです。裁判所にもよりますが、80~200万円程度かかり、競売の費用の中でも高額となる場合が多いです。
具体的な予納金の額は、請求債権額によって異なります。
下記の表は、東京地方裁判所における予納金の額になります。
郵便切手代は、金融機関が競売に必要となる書類を裁判所に送付するときにかかる費用のことです。
郵便切手代は裁判所によっても異なり、実費がかかります。
競売では、差押え登記を行うための登記免許税がかかります。
差押え登記で必要な登録免許税の額は、確定した請求債権額の4/1,000です。
ここまで、競売の申し立てには上記のような費用がかかることを説明しました。
では、実際に競売にかかる費用は誰が負担するのでしょうか。
「申立手数料」や「予納金」といった競売の申し立てにかかる費用は、債権者が一旦支払いを行います。
ただし、競売にかかる費用は、住宅ローンの残債に加算され、競売の売却費用の中から支払われることになります。
つまり、結果として、住宅ローンを借入れた人(債務者)が負担することになります。
競売では、一般的に物件の売却価格が相場の50〜70%となることに加えて、
上述した通り、競売の申し立てにかかる費用も債務者の住宅ローン残債に加算されるため、
自宅が競売にかけられてしまうと、多額の残債が発生する危険性があります。
したがって、競売にかけられる前にいち早く競売を回避することが重要となります。
では、競売を回避・取り下げするためにはどのような方法があるのでしょうか。
結論、競売を回避・取り下げるためには、住宅ローン残高を一括返済する、もしくは任意売却を行い、債権者の同意を得るという方法しか残されていません。
住宅ローン残高の一括返済を行えば、債権者は取り下げに応じてくれます。
しかし、毎月の返済が滞っている状況の中で、急にまとまった資金を用意するのは困難です。
また、単純な住宅ローンの残高だけではなく、借入残高に対して高利率の支払い遅延損害金も支払う必要があることにも注意が必要です。
それらの点を加味すると、住宅ローン残高の一括返済は、現実的でない方法だと言えます。
もう一つの方法として、任意売却で自宅を売却し、売却価格を住宅ローンの返済にあてる方法があります。
「任意売却」とは、住宅ローンなどの支払いができなくなった場合、債権者の「合意」のもとで一定条件により不動産を売却することです。
競売は債権者であればいつでも取り下げが可能であるため、任意売却の合意を得て、期間入札の開始前日までに手続きが完了できれば競売を取り下げることができます。
そもそも競売で不動産が売れたとしても低い価格での売却となるため、市場価格で売る任意売却のほうが有利です。
ただし、任意売却をした後に残った債務については、支払い条件を変更して引き続き返済することになります。
決められた条件に従って返済を続けなければ、「自己破産」などの必要性も高くなるため、現実的に支払いできる金額で交渉を進めましょう。
また、任意売却は専門的な知識が必要になってくるため、一般的な不動産屋で行うことは少なく、住宅ローンの悩みを専門で扱う業者に依頼することをおすすめします。
任意売却、親族間売買、リースバックは、どの協会・企業が行っても一緒ということはありません。
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